馬力とトルク

車の馬力とトルク

時間あたりの仕事量と力の大きさ

エンジンのパフォーマンスを示す単位としては馬カがよく使われるのですが、実はさらにもうーつ、トルクと言う指標があります。馬力は「最高出力○○馬力」と絶対的な数値で表すのが一般的ですが、トルクに関しては「最大トルク〇〇キロ」や、「エンジン回転数が3000回転から6000回転までの回転域で、最大トルクの80パーセントを発揮」の様ににカタログ上に記載されることもあります。

馬力と言うのは馬の力と書いているものの、力ではなく仕事率(単位時間あたりの仕事量)を表す単位なのです。最初に馬力が定義されたイギリスでは、荷車を引く馬一頭の平均のけん引力が180ポンドとし、1時間に10,852フィート荷車を引いて進む事が出来るというデータから、これを1馬力とし、1秒あたりのが550フィート・ポンドの仕事率に換算できます。
そのイギリス方式の馬力をメートル法で表すように換算したものがフランス馬カと呼ばれており、PSと言うで表記され、さらには最新のSI(国際単位系)ではW(ワツト)で表記されます。
そもそも換算するときに四捨五入するなどして微妙に数値が異なってくるのですが、最近ではSI系のW(ワット)とフランス馬力のPSを併記する事が多いと思います。

そしてトルクですが、こちらは力の大きさを表す数値です。馬力は仕事率の大きさで、例えば出カが一定であった場合、エンジンの回転数を上げていけばいくほど馬力も高くなります。しかしトルクはエンジンが運動する力の大きさです。正確に言えば「固定された回転軸を中心に働く回転モーメント」で最近では自動車のパフォーマンスを左右するのは馬力よりもトルクが重要だと考えられるようになっています
馬力とトルク

馬力の単位
DIN馬力
ドイツ工業規格(DIN)が決めた試験方式で測定した馬力。車に搭載した状態とほぼ同じ条件で測る。日本も採用していて、ネット(NET)と記載されていることが多い

SAE馬力
アメリ力で採用していた馬力表示。エンジンに付属している補機類を除いて測定した馬力。グロスと呼ばれる。

トルク特性

数十年前は自動車の性能を比較する上で最高出力が大きなセールスポイントとなった時代がありました。例えば軽自動車ですが、1960年代の半ばまで、軽自動車の最高出力はやっと20馬力台に乗るかどうかといったレベルでした。
当時の軽自動車は車重が400kg前後と軽かった上に何よりも価格自体が安かったことから、動力性能に関してはユーザーの要求レベルがさほど高くなかったという事もあったのだと思います。
ところが最後発メーカーのホンダが31馬力のN360を登場させた事から軽自動車メーカーのエンジン開発競争が始まりました。
各メーカーはホンダへの対抗策として従来モデルでエンジンのパワーアップを施すことになります。そして注目しておきたいのはホンダN360とライバルたちの最大トルクです。
最高出力こそN360に大きく引き離されていましたが、実は最大トルクに関しては、むしろライバルのほうがまだ高いレベルにありました。N360が3kg・mだったのに対してスズキのスズライトは3.2kg・mでした。
また、てんとう虫の愛称で親しまれていたスバル360は、N360と同じ3kg・mでしたが、車重が500kgほどあったN360に比べてスバル360の車重は385kgであり、100kgも軽量でしたので、実質的な性能は互角、あるいはスバル360の方が上だったかもしれませんね。

N360がエンジンを毎分5000回転も回してやっと3kg・mのトルクを絞り出していたのに対して、スバルは2000回転も低い3000回転で同じトルクを引き出していました。
できる限りエンジンを高回転域まで回し、そこで最大トルクを出すように設定すると最大出力は引き上げられます。しかしそこまで回転を上げていない中低回転域ではトルクが少なくて使い物にならず、常に高回転域をキープしなければならないとても扱い難いエンジンになってしまうのです。

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