知っているとオモシロイ!車の構造 デフ・LSD

デフ・LSD


FR駆動のクルマの場合、エンジンで作られた駆動力は、プロペラシャフトの回転を後部まで持ってきて、ギアによって90度方向転換してタイヤを回します。
この時、カーブに合わせてハンドルを切っても、フロントタイヤはカーブ内側と外側のタイヤはつながっていないので問題ありませんが、リヤタイヤは一見すると一本の棒でつながっているように見えます。
実際にそうだとすれば、カーブの時の内輪差によって走行距離に差が出てスムーズにカーブが曲がれません。また、駆動系の大きな負担にもなります。
カーブを曲がる場合の旋回距離

デフ(デファレンシャル ギア)

駆動輪の回転差をつけてスムーズにカーブする

デフ (differential gear) は駆動輪に回転差をつけて、スムーズにカーブできるようにする装置です。
デフの内部にはタイヤとつながるサイドギヤと、それらをつなげるピニオンギヤ、ピニオンギヤが装着されるピニオンシャフトがあります。直進しているときは、デフケースに装着されたファイナルギヤが回転し、ピニオンギヤは回転せずにサイドギヤを連結して左右輪は回転差のない状態になります。

カーブで内輪と外輪の回転差が生まれるとサイドギヤが回転し、ピニオンギヤが回ります。
すると反対側のサイドギヤはピニオンギヤの自転によって逆回転しようとします。ただ、ファイナルギヤによってピニオンシャフトは進行方向に回転しているので、実際には内輪は逆回転ではなく遅れて回る形になります。

FFの場合もこれと同じで、フロントに駆動力を伝える左右のドライブシャフトはフロントに装着されたデフにつながっており、左右の回転差を吸収しています。フルタイム4WDの場合には、タイヤとつながるデフが2つと、プロペラシャフトの回転差を吸収するセンターデフが1つの合計3つのデフが必要になります。

このデフの仕組みですが、言葉や文章で説明してもサッパリ分からないんですよね。また、文章の説明と図があっても、これまたなかなか分かりにくい・・・
私も始めて説明してもらった時は全然理解できませんでした。
ですが!
デファレンシャルギアの分かりやすい説明動画を見つけました!
ちょっと古い動画で、解説は英語ですが、解説が分からなくても十分理解できます。
色々なデフの説明動画がありますが、コレが一番分かりやすく説明していると思います。

片方の車輪がスリップすると、駆動力が伝わらなくなる

デフは非常にシンプルで賢い装置ともいえるのですが、1つ弱点があります。それは、片輪がスリップ(空回り)すると、もう片輪には駆動力が伝わらず、車が動かなくなってしまうということです。
一般走行ではほとんど問題になりませんが、雪道や不整地、ぬかるみなどではこれでは不都合となります。そのためにるLSDと呼ばれる機構が必要とされる場合があります。

LSD(リミテッド スリップ デファレンシャル)

LSDの種類と構造

LSD (Limited slip differential)は、最近の車では標準で、またはオプションでも装備されていることが多くなりました。このLSDはノーマルのデフの欠点を補うものといえます。
ノーマルデフの場合は、片輪がスリップしてしまうと、もう片方の車輪に駆動力が伝わらず、クルマが前に進まないという現象が起きてしまいます。これを防いでくれるのがLSD(リミテッドスリップデフ)です。
日本語では差動制限装置といいますが、LSDにもいくつかの種類があります。

デフケースの内部にクラッチプレートを設けたものが一般的

古典的なLSDは湿式多板式LSDです。クラッチプレート式とも呼ばれます。
これはLSD内部のクラッチプレート(フリクションプレートとフリクションディスク)の摩擦によって差動制限をするものです。
デフに駆動トルクが伝わると、ドライブシャフトに連結されたカムがプレッシャーリングを押し開き、クラッチプレートを圧着することで左右輪を直結にするような働きをします。
この場合、加速や減速時のトルクが伝えられた時に差動制限をするので、トルク感応式LSDに分類されます。
ただし、このままだと片輪がスリップするとトルクが伝わらないということではノーマルデフと同じです。そのため、コーンスプリング(板を円錐状にして弾力を持たせたスプリング)などを内蔵して、ある程度の差動制限をかけておきます。これをイニシャルトルクと呼びます。これによって雪道などで片輪がスリップしたときの脱出などに対応できるようにしているのです。

トルセン式、ビスカスカップリング式

トルク感応式LSDには、この他にトルセンLSDヘリカルLSDと呼ばれるものがあり、これらは歯面やハウジングによる摩擦でLSD効果を生み出すものです。
また、ビスカスカップリング式LSDと呼ばれるものがあります。これはシリコンオイルの粘性を利用したもので、回転速度差が発生したときに差動制限が発生するため、回転差感応式LSDと呼ばれています。
湿式多板式がクラッチプレートの摩擦でしっかり効くのに比べると、粘性を利用しているということで効き自体は弱めになります。
ただ、一般的に降雪地帯などで使用する分には十分な能力を発揮しますし、4WDのセンターデフに用いることで、前輪と後輪の回転差を上手に吸収しますから、現在ではフルタイム4WDには欠かせないパーツとなりました。

LSDのメンテナンス

湿式多板式LSDの場合には、クラッチプレートの摩耗があり、効きが弱くなったらオーバーホールが必要となります。
また、クラッチプレートは発熱によるオイルの劣化が生じるため、デフオイルも定期的な交換が必要となります。

トランスミッションとデフが一体となったものは定期的にオイル交換

特にFFなどのトランスアクスル(トランスミッションとデフが一体化したもの)は、トランスミッションオイルがデフオイルを兼ねることになります。そのため、オイルの劣化はトランスミッションのトラブルにもつながる部分なので注意が必要です。
トルク感応式LSDでもトルセンLSDやヘリカルLSD(メーカーオプションなどで装着されるものが多い)などは、オイル交換は必要なものの、消耗部品はありません。
また、LSD未装着の場合は、デフオイルの交換はほとんど必要ありません。新車時から廃車時まで無交換ということも現実的にはあると思います。
しかし、湿式多板式LSDが装着されたFRのリヤデフのオイル交換は、車の使い方や環境によりますので一概には言えない部分ですが、数千kmでの交換が推奨されます。

湿式多板式LSDメンテナンス

気をつけなければいけないのは、FFなどでトランスミッション内にデフが装着されている場合です。この場合は、LSDの発熱のためにオイルが劣化するとトランスミッションオイル自体も劣化してしまいます。
また、操舵輪とデフがつながっているため、回転差が生じやすく、操舵しないリヤデフよりもLSDが効いている状態が多くなり、LSDにとってもオイルにとっても過酷な状態といえます。
モータースポーツで使用する場合には、エンジンオイル交換2回に対して1回のペースで交換などといわれる場合があります。
LSD本体のオーバーホールは、ミッションやデフを車体から外して分解し、フリクションプレートとフリクションディスクを交換する作業が必要になります。
また、プレートの枚数によってイニシャルトルクの効き方を調整するために、組んでからトルクレンチで調整し、合わなければ再び分解して・・・という作業が必要になるため、自宅で行なうのは難しい作業です。
LSDのオーバーホールは、しっかりとした設備や工具がある整備工場に依頼した方が良いでしょう。

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