知っているとオモシロイ!車の構造 エンジンオイル

知っているとオモシロイ!車の構造 エンジンオイル

すべての潤滑油は、ベースオイルで決まる

エンジンオイルをはじめとする潤滑油は、直接原油から精製されるのではなく、元になるベースオイルというものを加工して作られています。
潤滑油のベースオイルは、ガソリンや軽油、LPGなどと同じく石油の精製工程で製造され、通常は鉱物系ベースオイルと呼ばれています。原油を常圧で蒸溜し、その残油を減圧しながら蒸溜してアスファルトとコークスを分離します。

  1. 原油からの留出油からアスファルト残漬を液化プロパンを用いて取り除きます。
  2. 溶剤抽出により芳香族化合物を取り除きます。
  3. 水素化処理によって、硫黄、窒素、酸素化合物などの不純物を取り除きます。
  4. メチル工チルケトンとトルェンの混合溶剤で「ろう分」(飽和炭化水素)を結晶化させて取り除きます。

このようにして潤滑油のベースオイルが精製されます。
潤滑油には低温から高温域まで安定した流体状態を保っていることが要求され、「高沸点」と同時に「低融点」と言った相反する特性が要求されます。要するにどのような状態でも液体状になっていて、高温でも沸騰しにくく、低温でも固まりにくいと言う事ですね。

また、反応性の高い不飽和結合を持つ分子構造は潤滑油に向いておらず、その点で芳香族化合物は潤滑性能が低いので使用できません。一方、飽和炭化水素は安定性は良好なのですが、融占が高いので固まりやすく、これも潤滑油には向いていません。ですので、部分的な枝分れ構造を持つ直鎖飽和炭化水素や、環状パラフィンを持つ直鎖飽和炭化水素が、ベースオイルの分子構造としては最適となります。そのためにベースオイルの製造には煩雑な工程を経る必要があります。
また、ベースオイルは潤滑油の性能を決める基本となるもので、性能の良い潤滑油を作るためには上手く精製されたベースオイルを選定することが重要です。
石油精製工程においては、様々な不純物除去を除去する必要があるため、各工程に水素化処理が組み込まれています。
このために多量の水素が必要なりますが、その水素はガソリンを作る接触改質工程で自給していて石油精製工業を成立させています。
石油精製工程の概要

ベースオイルに添加剤を添加し、エンジンオイルを生成

潤滑油は、ベースになるオイルと各種の添加剤を組み合わせて、その使用目的に応じて調合された添加剤が配合されています。
エンジンオイルの役割は、エンジン各部を潤滑したり冷却したりして、エンジンが滑らかな回転保つようにすることです。
毎分数千回転で回転している軸受や、高速で往復運動しているピストン、弁や数多くのギヤなどが、エンジンオイルによって効率的に動くことができるのです。
また、エンジンは、真冬の寒い朝から、真夏の炎天下まで、使用される温度範囲がとても広く、要求される性能も多岐にわたっています。このような過酷な条件下でも、エンジンオイルが充分な性能を発揮するために様々な添加剤が配合されています。

【酸化防止剤】
潤滑油の劣化や変質を防ぎ、長期間安定した性能を維持させる。腐食性物質の生成を抑え、金属イオンの酸化触媒作用を防ぐ。

【清浄分散剤】
高温のシリンダー内部で生成された煤やスラッジをエンジンオイル中に分散させ、エンジン内部をクリーンに保つ。

【粘度指数向上剤】
温度変化による油の粘度変化を抑える。

【流動点降下剤】
エンジンオイル中のワックスと共晶をつくり、流動点を下げる。

【極圧剤】
金属表面に皮膜をつくり、パーツ同士の接触面の摩擦や焼きつきを防ぐ。

【防錆剤】
金属表面に吸着膜をつくり、酸素や水を遮断してエンジン内部のさびの発生を防ぐ。

【消泡剤】
激しい撹拌によって発生したオイルの油面の泡を、表面張力の変化により消す。

【摩擦調整剤】
金属表面に保護膜をつくり、エンジン内部の摩擦を低減する。

エンジンオイルとは

自動車の燃費向上や排ガス低減に関して、潤滑剤の果たす役割は大きくなっています。自動車には様々な潤滑剤が使用されていますが、その中でもエンジンオイルは、ピストンとシリンダー、バルブ駆動系(バルブトレーン)など、エンジンの主要部分の潤滑を担っています。
自動車にとってエンジンは最重要部品で、ちょっと極端な例えかもしれませんが、自動車のエンジンは人間にたとえれば「心臓」と言われています。
人間の心臓は血液を必要としますが、エンジンにとって「血液」に相当するのがエンジンオイルと言えるでしょう。
通常、エンジンオイルはエンジン下部に装着されているオイルパンに入っていて、それをオイルポンプで汲み上げてエンジン各所に送られる仕組みです。

エンジンオイルの役割(潤滑、密封、冷却、洗浄、防錆)

エンジンオイルは、エンジン内部パーツの潤滑が主な役割ですが、その他にも重要な役割を担っています。
エンジンオイル
潤滑
エンジン内部(シリンダー内)ではピストンやクランクシャフト、力ムシャフトなどが1分間に数百~数千回転に及ぶ高速運動をしています。そのために生じるエンジン内部の金属同士の摩擦や、摩擦熱による焼きつきを軽減します。

密封
シリンダー内を往復運動するピストンは、シリンダー内壁と完全に密着しているのではなく、ごくわずかに隙間があります。(隙間が無ければ動けませんね)エンジンオイルはこのわずかな隙間に入り込んでシリンダーを密封しています。エンジンが古くなってくると、ピストンが磨耗してこの隙間が大きくなるため、シリンダー内での燃焼によって生まれたエネルギーがその隙間から逃げ、パワーロスの原因になります。この様な場合は、エンジンオイルによる密封は期待できません。

冷却
エンジン内部は、燃料の燃焼や金属同士の摩擦によって非常に高温になります。エンジンオイルにはこの高温になった部分を冷却する役割もあります。エンジンオイルがエンジン内部を巡って熱を吸収し、オイルパンにもどり冷却され放熱します。大排気量車やエンジンが高速回転するレーシングカーなどは、エンジンオイルを冷却するためのオイルクーラーが取り付けられている場合もあります。

洗浄
エンジン内部は、燃料の燃焼や金属部品の回転運動や摩擦により、様々な汚れやカス(スラッジ)が必ず発生します。このスラッジはエンジン性能や寿命の低下を引き起こします。エンジンオイルはこの汚れを吸着し、オイルフィルターによってスラッジなどの汚れを濾過します

今まで、エンジンオイルの素性など、あまり気にしたことは無かったのですが、エンジン内部の超過酷な条件下で使われるエンジンオイルは、上記のような複雑な工程を経て生成されていたんですね。
最近の車は、エンジンオイルの性能向上とエンジン自体の品質向上のお陰で、オイル交換の時期が長くなってきました。ですが、エンジンの調子を良好に保つには、早めのオイル交換が欠かせません。
とは言え、「あれ?前回いつオイル交換したっけ?」という具合に、オイル交換の時期、忘れちゃうんですよね~。(私もしょっちゅう忘れます)

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