知っているとオモシロイ!車の構造 VTEC

知っているとオモシロイ!車の構造  HONDA VTEC
昔ですね、ウチのアニキがホンダシビックという車に乗ってたんですが、そのシビックにVTECエンジンが積まれてたんですよ。

当時の私はVTECの仕組みすらよく分かっていなかったのですが、アニキにこの車を貸してもらって高速道路を走ったときにちょっと感動しました。
高速道路でエンジン回転数を上げると、素人でも確かにVTECの作動する境目が分かるのですが、それがまた何とも言えず気持ち良いのです。
ちょっと大げさに言えば、2ストバイクでアクセルをガバッと開けたときの感覚と言えばいいでしょうか?
2ストバイクみたいにあんなに激しくドッカン!と加速するわけじゃありませんが、感覚的には同じような感じかな?
でもこの時には何でVTECエンジンがこんな感じに回るのかまったく知らなかったんです。

私は根っからの文系でしたので、あんまりメカ関係には詳しくない、と言うか、興味が無かったんですが、この時にアニキにVTECの仕組みを教えて貰って以来、車の仕組みに興味が沸き、そのお陰で自動車関係の仕事をするようになったようなものなのです。
ですから、私にとってVTECエンジンは「人生の方向を変えたエンジン」なんです。(大げさですが)

あの時、アニキのシビックに乗らないでVTECの事も知らなければ、私は恐らく教職の道を進んでいたと思います。
当時私は大学生で、教育学部におり、中学校の教員になるつもりでした。(その方が良かったか!?)

それがこのVTECの一件で自動車に興味が沸いてしまい、一気に自動車好きになって自動車ディーラーに就職しちゃいましたから(笑)
ま、私のことはどーでもいいのですが、このVTECという機構について、ネットで色々調べましたが、あまり分かりやすい説明が無いんですよね。
ですからここでは、当時アニキが私に説明してくれたように、VTECについて分かりやすく説明していたいと思います。

あっちが立てばこっちが立たず・・・

自動車ってずっと一定のスピードで走ってる事ってほとんど無いじゃ無いですか。
街中を30km~40kmくらいでのんびりと走ることもあれば、高速道路を100kmで走ることもあるし、サーキットを走る人だったらもっとスピードを出すこともあるでしょう。

低速で走っている時はトルクフルでグイグイ快適に走り、高速時にはギュンギュン回ってスピードの出るエンジン・・・これが理想のエンジンなのですが、こんな都合の良いエンジンはなかなか造ることができないそうなのです。
要するに、「低速での性能」と「高速での性能」、両方が100点満点のエンジンは造れなかったんですね。

それはなぜか?
ここでその理由を説明すると、超絶に長くて難しくなっちゃいますし、私も説明できる自信が無いので省きますが、要は低速性能を良くすると高速性能が犠牲になり、高速性能を良くすると低速性能が悪くなる・・・1つのエンジンで低速・高速共にカバーする性格のエンジンは造れなかったのです。

「じゃ、低速用と高速用、2つのエンジンを積んじゃえば良くね?」

ま、そういうことですが、そんなこと現実的じゃ無いですね。

「エンジンを2つ積まなくても、低速用で使う部品と高速用で使う部品の2種類の部品を1つのエンジン内に組み込んでおいて、状況に合わせて切り替えれば良くね?」

とホンダの技術者の方が思ったかどうかは分かりませんが、簡単に言っちゃえばこんな感じでしょうか?

低速で走っているときは低速用の部費が作動し、低速時に最適な動きをさせ、高速時には高速用の部品を作動させて高速時に最適な動きをさせる・・・
言葉で言うととても簡単ですが、VTECはこれを世界で一番最初に実用化したすごい技術なのです。

VTECの仕組み

自動車のエンジンは「吸気・圧縮・爆発・排気」の4つの行程を内部で行ってピストンを上下に動かし、その上下運動回転運動に変換して車輪を回しています。
この4つの行程のなかの吸気と排気ですが、吸気はエンジンの中にガソリンと空気の混ざった混合気を送り込む行程です。
低速時には混合気の量をちょっとしか吸い込ませない方が、燃費も良いしエンジンも快適に動くのです。
また、高速時には、混合気をガバッと入れてあげてドカン!とエンジン内部で爆発させて大きな力でピストンを動かしてやると、パワーが出てスピードが出るのです。

が、ここで困った問題が。

エンジン内部にある混合気を爆発させる部屋の上部に、混合気を送り込む穴があるのですが、この穴にはフタが付いています。このフタは、一定の広さでしか開閉できません

低速時にも高速時にも同じ広さでしか開くことが出来ません

「このフタを低速時にはちょっとだけ開けて、高速時にはガバッと開けられたらなぁ・・・」

当時の自動車メーカーの技術者の方々はこんなふうに思っていたことでしょう。
もちろんホンダの技術者の方も同じように思っていたと思います。
が、そこがホンダの技術者の方のスゴイところ!

「低速時にフタをちょっとだけ開いて、高速時にガバッと開ける」
この仕組みを実現したのです。

そしてこれが「VTEC」なのです。

この「フタ」ですが、バルブと呼ばれていて、このバルブの動き(フタの開け閉め)はロッカーアームという部品が動くことによって行われます。
そしてこのロッカーアームは、回転するカムという部品の形に添って動くようになっています。

要するに、バルブは、回転するカムの形によって開け閉めの大きさを制御されているのです。
VTEC以外のエンジンはロッカーアームもバルブも1種類しか設置されていません。ですから、低速時でも高速時でも1種類の動き(同じ動き)しかしません。

ですが、VTECエンジンはロッカーアームとアムを2種類設置しておいて、エンジンの回転数に合わせて使い分けるようにしたんです。
低速時には、バルブの開度が小さい低速用のロッカーアームとカムを使い、高速時にはバルブの開度が大きい高速用のロッカーアームとバルブを使うのです。

もっと詳しい仕組みはホンダのウェブサイトに解説がありますので、是非ごらんください。

また、下記のアニメーションがVTECの仕組みを分かりやすく説明しています。

VTECの仕組み

一般的になったVTEC

現在ではVTECと言えばホンダの代名詞にもなっているくらい一般的なものになりました。
そしてもっと複雑なバルブ制御が可能になった「i-VTEC」やターボエンジンに対応したVTECの「VTEC TURBO」など、現在は初代VTECから進化した仕組みが開発されています。
また、自動車だけでは無く、ホンダのオートバイにも採用されています。

ちなみにVTECエンジンを初めて採用したのは、1989年に発売されたインテグラXSi/RSiでした。
当時の販売価格は、一番安価なRSiで1,475,000円、トップグレードのXSiで1,926,000円でした。
インテグラXSi/RSi
出典:Wikiペディア
現在、中古車もまだ若干出まわっているようです。
古い車ですから走行距離が多いのは仕方ないですが、自動車技術に大革命をおこしたVTECの初代装着車種ということで、程度の良いものは200万円以上の値が付いているようです。
そう言えば、天皇陛下の愛車が91年式のインテグラでしたね。

あ、書き忘れましたが、VTECは

Variable valve
Timing & lift
Electronic
Control system

「バリアブルバルブ タイミング&リフト エレクトロニック コントロールシステム」

の頭文字を取ったものです。

日本語では「電子可変バルブタイミング・リフト機構」と名付けられています。

VTECってもうあまりにも一般的になっちゃって、「VTEC、ソレが何か?」って感じですが、これを考えた技術者の方って本当にスゴイと思うのです。

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