クーペ、セダン、車のボディタイプの語源と変遷

クーペ、セダン、ボディタイプの語源と変遷

私が子供の頃、「クーペ」と言うと「2ドアの格好良いスポーツカー」というイメージがありました(歳がバレますな!)
また、セダンと言うと4ドアで後部のトランクスペースがあって(ノッチバック)、所謂「普通の自動車」というイメージでした。

例えば、日産フェアレディーZは「クーペ」で、トヨタクラウンは「セダン」みたいな。

しかし最近は車のデザインは多種多様になり、エンジン性能や空力の向上も相まって、クーペ、セダンの違いが曖昧になってきました。
ポルシェのパナメーラなんてぱっと見はスポーツカー(クーペ)みたいですが、4ドアです。

そこで今回は、クルマのボディタイプのルーツとその変遷を調べてみました。

元々は馬車のカタチを表す名前だった

カール・ベンツ(メルセデスベンツの創設者)がガソリンエンジンの特許を取って自動車が徐々に普及していくわけですが、それ以前の移動手段は馬車がメインでした。
初期の自動車は、手っ取り早く言えば馬車の馬に当たる部分をエンジンに置き換えた物でしたので、その呼び名は馬車の型状を表す名前が使われています。

クーペ クーペ (coupe)
2人乗りの箱型馬車
昔の二人乗り用の馬車がフランス語でキャロース・クピ(carrosse coupe)と呼ばれていた事が語源になっています。
この事から、二人乗りの2枚ドアのクルマがクーペと呼ばれるようになりました。

ワゴン ワゴン (wagon)
2頭立て以上の荷馬車

キャラバン キャラバン (caravan)
大型の幌馬車

コーチ コーチ (coach)
4輪大型馬車

バギー バギー (buggy)
軽装馬車

カート カート (cart)
2輪荷馬車

キャリッジ キャリッジ (Carriage)
2頭立て以上の4輪馬車

キャリオル キャリオル (cariole)
1頭立ての小型馬車

チャリオット チャリオット (chariot)
古代の2輪馬車戦車

上記のような呼び名が主な馬車のタイプですが、クーペ、ワゴン、バギーなどは、今でも自動車のタイプの呼び名として一般的に使われています。
キャラバンやコーチなどは、車名で付けられている物がありますね。
その馬車のボディーを造っていた職人さんを「コーチビルダー」と呼んでいました。昔は木工が’主でしたから、コーチビルダーには繊細な木工技術と、馬で牽いたときにも壊れない耐久性を持った馬車を造るための高度な技術が必要とされていました。
自動車が発明された当初、自動車は一般市民が買えるような物ではなく、一部の貴族や王族だけのものでした。
その貴族や王族からオーダーを受けたコーチビルダーが、車体を造り、エンジン付きの自動車のシャシーに載せるというシステムになっていたようです。
そのため、自動車のボディーは馬車の形式の名称が使われているのですね。

セダンって、馬車じゃないの?

クーペやワゴンなどは、その昔の馬車の型状から現在も呼ばれている名称です。
でも馬車の呼び名の中に「セダン」は見当たりません。
「セダン」は何が語源なのでしょうか?

セダンチェアーセダンの語源は、昔の「セダンチェアー」だと言われています。
このセダンチェアーは馬車よりも古い時代に使われていたもので、王族や貴族の移動手段として利用されていました。
まんま、日本の「駕籠(カゴ)」ですね。

しかし、なぜ4ドアタイプの自動車の事をセダンと呼ぶようになったのかは、色々調べてもハッキリしません。
恐らく、自動車が一般的になり、クーペタイプに更に座席を増やし、部屋のような空間を持つようになった時に、セダンチェアーのような空間があることから「セダン」と呼ばれていったのだと思います。

セダンじゃなくてサルーン?

サルーンセダンタイプのクルマの事を、日本のJIS規格では「サルーン」という呼び方が本来の名称だそうです。
この「サルーン」、西部劇に良く出てくるカウンター付きの酒場の事で、映画の中にも良く登場しますね。
元々はフランス語の「サロン」から来ています。
イメージ的には「セダン」よりも「サルーン」の方が豪華で高級なイメージがありますね。

現在の自動車のボディタイプ

ちょっと前までは「あのクルマはクーペ」、「あのクルマはセダンだ」と簡単に見分けが付きましたが、最近のクルマは多種多様になってきて「クーペタイプのセダン」や、それまで無かった「ハッチバック」と呼ばれるボディタイプが登場してきました。
現在は、一般的には屋根とボディーを繋ぐピラーの本数や位置を基準にしてボディタイプの呼び方を決めているようです。

ノッチバックとハッチバック

以前私がカーディーラーに勤めていたとき、「ノッチバック」と「ハッチバック」を混同されているお客様が多かったので、ボディタイプのハナシのついでにその違いについてご説明しますね。

ハッチバック

ハッチバック
ハッチバックの「ハッチ」とは、上下に開閉する扉の事です。炊飯ジャーの上蓋なんかがハッチ型状ですね。コンパクトカーは車内の広さを少しでも大きくするため、このハッチバックタイプが多くなっています。
ワゴン車やバンなどには昔からこのタイプのバックドアが付いている車種がありましたが、ハッチバックという呼び方はボディ形状よりもそのクルマの特徴として呼称される事が多いため、ワゴンやバンタイプの積載性や利便性が重視される商用車は「ハッチバック」と呼ぶ事はありません。
逆に、クーペタイプのスポーティーな車種でリアゲートがある場合はハッチバックと呼ばれる物があります。
また、車種によっては「ハッチバック」という名称が高級感やユニークさを感じさせないと判断されるのを嫌い、リフトバック(トヨタ)、オープンバック(日産)、スポーツバック(アウディ、三菱)など、独自の名称を付けています。

ノッチバック

ノッチバック
ノッチバックは自動車のボディータイプを表す言葉ですが、その呼び方に関して明確な基準はありません。
ノッチバックの「ノッチ(Notch)」とは「折れ」の事。
リアガラスとトランクの境が折れているデザインの事です。
要するに所謂3ボックスと言われるボディータイプの事で、ボンネット部分、乗車室部分、リアトランクルーム部分の3つの箱で成り立っているデザインのクルマをノッチバックと呼びます。
所謂セダンタイプのクルマですね。

これに対して、屋根後端から車体リアエンドまで、ノッチバックのような折り目が無いなだらかな線のボディを持つデザインの車を「ファストバック」と呼んでいます。
昔、セリカリフトバックというクルマがありましたが、(実は私も乗ってました)ファストバックの代表的なデザインですね。
セリカリフトバック

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